世界に誇る「日本文化」を世界に
日本の文化は、世界に誇るべき価値を持っています。総合芸術とも言われる茶道を始めたのは19年前で、取引先のある社長に「点初め(たてぞめ)」に招かれた事がきっかけでした。お家元と錚々たる方に囲まれた茶席が初めてというのは、怖いもの知らずだったと思います。
忙しい毎日でしたが、お茶の稽古は熱心に通っていました。仕事漬けの毎日ですと、本当に様々な事がありますが、お稽古に行くと、その時間は集中しているためか、仕事の事、家庭の事、嫌なこと、全てがリセットされるのです。世の中の雑事から解放されている感覚です。この時間は大切にしたいなと思いました。
(※新年を迎えて最初のお茶会行事を、遠州流では、「点初め(たてぞめ)」と言います。
経営者仲間との出会い
その代表の方から、福岡の錚々たる経営者仲間を紹介してもらい、茶道も仕事も充実した日々を過ごしていました。皆さん、アジアに視点を向け文化的なことも事業として取り組んでいることを目の前で見てきました。「お茶の文化をいつかは世界に広げることが出来たら」とぼんやりと考え始めたのはこの時期だったと思います。
事務所の昇降デスクとお茶
取引先でもある「オカムラ」の昇降デスクも10数年前に自社に導入しました。自分で使うことで実際のメリットを感じていました。新聞を立って読むと早く読めます。立って会議をすると、健康にも良いですし、いつもと違う発想が出てきます。眠くなることもありません。これはなかなか良い機能だと思いました。これが「流麗」を生むヒントとなりました。お茶席はまず、茶室で正座し、釜でお湯を沸かし、柄杓でお湯をすくい、茶わんに注ぐ等、お茶は前準備、後片付けが大変です。最近では、お茶の先生方の高齢化も進み正座が難しくなってきました。そこで「この昇降機能は使えるのではないか?」と「流麗」の開発がスタートしました。
シンガポールOISでの「流麗」デモンストレーションと呈茶
2023年、はじめて海外で「流麗」でお茶を点てたのはOIS(オカムラ・インターナショナル・シンガポール)で、でした。今年2024年8月には2回目の呈茶(ていちゃ)を昨年と同じくOISで開催しました。昨年は初めての試みでもあり、手さぐりで会場をしつらえましたが今年は2回目。ショールームの設えは、昨年よりも上手く出来たと思います。
これと時期を合わせ、お家元のシンガポールでの茶会が3つ開かれ、随行させていただきました。1つ目が日本大使公邸でのお茶会です。2つ目はNUS(シンガポール国立大学)での35周年記念式典の茶会です。NUSには茶道部があり、35年前からお茶の指導で遠州流との交流があります。3つ目が外務省管轄のJCC(ジャパン・クリエイティブ・センター)の15周年記念式典。いずれも大変なお茶席ですので、私自身はかなり緊張が続いていました。ただ、どこのお茶席でも現地の方は日本文化、茶道をしっかりリスペクトされいて穏やかな時間になったのではないかと思います。
久留米座のバーチカルブラインド、資生堂久留米工場にタペストリ
これまでも日本の文化・伝統を表現する取組をしてきました。まず久留米シティプラザ3F久留米座のホワイエに久留米絣のバーチカルブラインド。これは現在も久留米座の入口を飾っています。2つ目が資生堂久留米工場エントランスのタペストリ。これも久留米絣をデザインしたもので、弊社が直接、納品致しました。自社で企画する「ファブレス企業」としての取組も「流麗」が3点目となりました。日本の伝統文化を表現しながら現在のライフスタイルに取り入れてもらえるような商品作りがようやく出来て来つつあるかな、と思っています。


こだわり
どこでもお茶席を提供できる「流麗」は、日本的なデザインと仕事にも活用できる実用性を兼ね備えていることが必要でした。現在のデザインにたどり着くまでに時間がかかりました。そのこともあり、意匠登録を日本とアメリカで取得しました。「流麗」は機能的に難しい技術を使っているわけではありません。お湯を沸かす熱源はIHでデザインを真似して作ることのハードルはそんなに高くありません。でも、このデザイン以外でお茶席やオフィス両方で使うことができるかというとどうでしょう?さらに、天板の色や、家紋を入れるなどオリジナルなものにしていくことができ、そのオフィス、使う場所、使う人、使うシーンにより合ったものに変更可能です。

マルチユース
「流麗」は色々な用途に使うことが出来ます。高さは自由に変えられますので、お茶席では立っても椅子に座ってもお茶を点てることが出来ます。書を書く時も使えます。ビジネスでも通常の利用に加えて講演台としても使えます。さらに言えば、簡単な鍋料理ですぐに「乾杯!」が出来ます。お茶席だけでなく、幅広いシーンで利用が出来ることは「流麗」の大きな特徴です。

あとがき
私自身45年間事務機業界に身を置き、オフィス家具のご提案並びにオフィス作りの経験を積み、日本のメーカー・オカムラ様の実績も積み重ねてきました。
弊社はこの「デスク・流麗」を、ファブレス・メーカーとしての位置づけで製作しました。①久留米絣ブラインド②久留米絣タペストリ、そして第3弾の商品としての「デスク・流麗」です。
私は、お客様の面前でお茶を点てて飲んで頂く事が、最高の「おもてなし」ではないかと考えています。世界に誇るべき日本の文化の素晴らしさを、企業が社員の皆様にも広め、又オフタイムに流麗デスクを利用し、社員同士のコミュニケーションを更に図って頂ければこの上ない喜びです。
最後に、カタログ撮影に当たり、地元久留米の水天宮総本宮様、萃香園ホテル様には多大なご協力を頂戴し、この場を借りまして御礼申し上げます。感謝!(文責:橋本 和幸)